水戸の台地は第三系の水戸層を基盤岩として,その上に見和層・上市層・関東ローム層などの上部洪積統が重なってできている。
水戸層は,第三紀中新世末期に堆積した多賀層群の一部で大部分が凝灰質泥岩からなる。この層は,有孔虫・放散虫・海綿の小骨片・硅藻などの小型化石を多く含んでいる。千波湖北側の段丘崖では水戸層が露出し,その上に不整合に上市層が重なっているのがみられる。この露出した水戸層は,本来青灰色であるが風化乾燥しているので灰白色になっている。この水戸層は,笠原水道の岩樋やかまどの材料として江戸時代には採掘使用された。
見和層は,灰白色の粘土と赤褐色の細粒砂とからなる地層で,成田層相当層の海成層である。上市台地の見和層は,場所によって層厚が異なっている。数年前までは市内石川町の沢渡川(さわたりがわ)の露頭でマガキの貝殻を主体とする化石床がみられた。
上市層は段丘砂礫層からなり,砂礫層の厚さは3メートルから10メートルである。礫はチャート・砂岩・泥岩を主とした円礫で,長径が十万原では大きく,市内松本町あたりでは小さくなる。
台地の表層となっているのは,厚さ2メートルから4メートルの茶褐色のローム層である。ローム層は赤城山・男体山などの火山活動による火山灰であり,中程にはオレンジ色の粗い粒子からなる30センチメートル前後の鹿沼軽石層がはさまれている。