水戸における年間最多風向は北北西の風が最も多く,北東風がこれについでいる。季節的にみると9月から3月にかけては北北西の風が強い。6月から8月においては,他の地域の夏季とは異なり,最多風向は東北東になっている。これは,茨城県の海岸地域では南寄りの季節風が少なく,オホーツク海気団から吹き出す北風が多いためである。
このように冬の季節風を中心に北風が強いため,かつてはこの風を防ぐために住居の北西側の部分に屋敷森や生垣を設ける集落がみられた。屋敷森や生垣としては,スギ・ケヤキ・タケ・マキ・マサキ・ヒバなどが植えられた。このような屋敷森は那珂川の沖積低地の上国井・下国井・中河内・青柳・吉沼・上大野などの古い集落に今も見られる。