水戸市の森林公園のある全隈丘陵では,クヌギ・コナラの雑木林やアカマツ林,そしてカヤ・モミ・イチイなどの木々が見られる。これらの木々の下では,ヤマユリ・ツルリンドウ・イチヤクソウなどの花々やゼンマイ・ワラビなどの山菜がある。
台地・段丘にあっては,市街化区域から離れるにつれてアカマツ林やクヌギ・コナラの雑木林がある。千波湖の南北の崖では,カシ・スダジイ・ツゲ・アオキ・ヤブコウジなど,那珂川右岸の段丘崖では,植林によるスギやクヌギ・コナラなどがある。
偕楽園では3,000本を数えるウメ,そしてスギ・クロマツ・ヒサカキ・アオキ・ツツジ・ハギなどが見られ,桜山ではソメイヨシノ・ヤマザクラが全体を覆い,アカマツ・コナラ・シイ・カシなどが見られ護国神社を包んでいる。
丹下の湿原では,ガマ・マコモ・サワトラノオ・ホタルイ・ミミカキグサ・モウセンゴケなどの湿生植物が生育していた。
千波湖北側の段丘崖にある笠原水道用岩樋を採掘したあとの洞穴(備前町)の中には,洞穴内の水面上を黄金色に輝かせるヒカリモの生育地がある。
千波湖付近は,かつては水性植物・湿性植物の宝庫であったが,都市化に伴ってその種類も減少した。主なものとして,ヨシ・オニバス・ハス・ヒシ・オモダカ・ガマなどが見られる。そのうちのハスやオニバスの繁殖は,湖底が浅くなっていく原因の一つにあげられている。また,以前見ることができなかったガマやセイタカアワダチソウが急速に繁殖してきている。千波湖の汚濁化を裏づけるミドリムシやウチワビゲムシも急増してきている。