2 資金調達の方法

106 / 1103 ページ

 何度かの大改良問題運動の高まりはあったが,そのたびに工事費用支出の方法がなく,ただのデスクプランとして立ち消えになってしまった。それが,偶然の機会の重なりで,またそれをよく理解した人びとの努力によって実行されだした。

 日本勧業銀行が,それまで門を閉していた水道事業に,低利子でその工事資金を融資することになった。他地方においては県庁などよりの補助を受けて,水道事業が成立しつつあることも知った。以上の条件をもとに改めて下市の有志は実行可能な設計案を作成し,各関係者を熱心に説得し改良事業を決定したのである。

 総工事費6万9,000円は,始めから水道区会費での支出は不可能と,官庁などの補助と銀行の融資をもとに考えられていた。県費の補助を総工事費の50パーセントの3万4,500円,市費からの補助を0.44パーセントの300円とし,残りの49.56パーセントの3万4,200円は区費で負担するとした。しかし,区費負担といっても水道区会に積立金はなく,この金額を日本勧業銀行より借受けて,30か年の年賦で償還することにした。その分は当然水道区域内の住民が負担することになり,のちにそれは大きな問題となる。