『水戸市郷土誌』に,水道改良時代の「給水規定」がつぎのようにある。
1 給水ハ昼夜不断トス。已ムヲ得ザル場合ニ給水ヲ停減スルコトアルモ,市ハ其ノ損害ニ対シ責ニ任ゼズ。
1 邸宅内ノ計量器止水栓,其他邸宅外ニアル水道用具ハ,市参事会ニ於テ指定シタル者ノ外何人タリトモ之ヲ開閉シ又ハ之ニ接触スベカラズ。
水道は24時間給水するが,給水所の事情によっては減水や断水もあること。個人がむやみに宅地内に設置された水道水の計量器や止水栓,道路などにある水道関係の用具や施設に触れることは禁止され,市参事会において指定を受けた(資格審査のことか)者だけに許されたことなどが,その内容である。
明治40年11月1日の「いはらき新聞」には,「水戸市水道給水規定」の第14条から第20条までが掲載されている。
第14条 給水管の布設を要するものは市参事会に請求すべし。
第15条 市参事会は前条の請求を受けたるときは,実地見分の上費用調書を製し其払込の期日を定め,之を請求人に通報し払込を待て工事に着手するものとす。但官衙公料等の要求に係る工費は工事施行の後払込ましむることあるべし。
第16条 各栓給水料は1ヶ月左の割合により徴収す。
1 放任専用栓給水料 1栓に付1戸5人迄金40銭 以上1人を増す毎に金4銭を追加す。
1 同増数栓給水料 1栓に付金30銭。
1 同支栓給水料 1栓に付金20銭。
1 放任私設共用栓給水料 1戸5人迄金20銭 以上1人を増す毎に金2銭を追加す。但計量給水によるべき者本栓を使用するときは総て倍額を徴収す。
1 公設共用栓給水料 1戸5人迄金6銭 以上1人を増す毎に金1銭を追加す。但同上。
1 計量専用栓給水 (甲)1ヶ月使用料100石迄金30銭 以上1石に付金5厘。(乙)1ヶ月使用量200石迄金50銭。以上同1石に付金2厘5毛。
第17条 放任給水を受くるものにして,牛馬を飼養するものは1ヶ月金5銭を徴収す。
第18条 放任給水料は 其月初日の現在戸数人員又は牛馬豚数に依るものとす。
第19条 放任給水料は左の期日迄に市役所に納付すべし。
第1期 自4月至6月分 4月15日限り
第2期 自7月至9月分 7月15日限り
第3期 自10月至12月分 10月15日限り
第4期 自1月至3月分 1月15日限り
第20条 新に給水するもの月の15日前なるときは同月分。16日以後なるときは半月分を給水当時の現在戸数人員又は牛馬豚類等により10日以内納付すべし。月の中途に於て給水を廃止するも其月の水料は全部徴収す。
給水料の算出は,市債の利率が年7分ということを勘案して決定されたもので,その後工事費の変化による起債額の増加で料金体制は変更された。