5 明治43年7月25日の通水式

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 明治43年6月30日に,前年7月2日の配水池工事から始まった下市水道の改良工事が終了した。第1回期の給水申込358個に対する分水工事も,翌月20日に終了している。

 起工式は明治42年の7月1日であったから,実質工事は約1か年であった。通水式は7月25日で,吉田村の配水池で挙行され,余興などもあって下市の人びとが集まり,飲料水の不安から解放された喜びを味わった。

 そのときの下市水道給水区域は,つぎのようである。(『水戸市郷土誌』)

大字下市 藤柄町1,587番地及1,430番地以東全部

大字吉田 旧松並全部

下市 紺屋町・七軒町・根積町・本一町目・裏一町目・水門町・横竹隈・本四町目・江戸町本二町目・裏二町目・桧物町・本三町目・裏三町目・裏四町目・青物町・清水町・竹隈町・肴町・三間町・本五町目・裏五町目・本六町目・塩町・本七町目・裏七町目・鍛治町・曲尺手町・材木町・八町目・九町目・仲ノ町・十町目・蓮池町・蘋町・新町一町目同二町目・同三町目・同四町目・同五町目・同六町目・轟町・裏六町目・赤沼町291番地・同318番地ノ1以南全部

  白銀町955番地ヨリ966番地マテ東台655番地・東台657番地・同659番地,同661番地・同663番地同704番地同705番地

大字浜田2番地ヨリ12番地マテ・66番地・80番地ヨリ82番地マテ・195番地ヨリ205番地マテ・十軒町706番地・同708番地ノ1・同709番地・同728番地・同730番地

大字細谷157番地及28番地西南全部


下市水道の配水管図(明治45年2月)

 こうして下市水道事業のために特設された,臨時水道部の任務は終了した。森司馬彦同部長は,県当局の認可を受けて,9月3日に市参事会にその事務を引き継いだ。市は,下市水道を維持経営するため水道課を新設し,つぎのような事務分担を決めた。

 1 水道区域及び治水に関する事項。

 2 水道工事に関する事項。

 3 水道材料保管に関する事項。

 4 水道使用料及び手数料収入額調査に関する事項。

 5 其他水道に関する一切の事項。


明治43年9月4日「いはらき新聞」

 上記の経過によって下市水道が軌道に乗り,従来の笠原水道の役割は終了し,廃止処分となった。水源からの湧水は完全に下市水道導水管に集められ,岩樋に対する送水は中止された。ただ,岩樋の途中などからの自然流水が流れていて,旧水道の井戸桝にも水があったため,しばらくは消防組が防火用水として,下市水道60か所の消火栓の不足を補う意味もあって維持管理をしていた。


本一町目角の公設共用栓(明治45年2月)


私設専用栓(明治45年2月)