大正14年8月22日の市会において,水道布設にともなう諸事業を研究調整するための機関として,つぎのような全市水道調査臨時委員規程が提案されて議決された。
第1条 全市水道調査事務ノ為市制第83条ニ依リ全市水道調査臨時委員ヲ置ク
第2条 委員ハ7名トシ市会議員ヨリ之ヲ選挙ス
第3条 委員ノ任期ハ市会議員在職期間トス
委員中欠員ヲ生シタルトキハ補欠選挙ヲ行フモノトス
第4条 委員ノ職務概目左ノ如シ
1 市水道計画ニ関スル件
1 財政調査ニ関スル件
3か月後の11月21日の市会で規程によって委員の選挙があり,全市民の関心事である水道事業を遂行する7人の委員が決定した。師岡廉治・小泉辰寿・小林徳次郎・高瀬藤次郎・本多文雄・鈴木剛次郎・小沼操で,その17日後である12月8日に,最初の水道調査臨時委員会が開催され,岡田技師よりそれまでの調査結果や8万人給水の計画案についての説明があった。
そのとき水質については,つぎのような条件が必要とある。
1 無色・無害
化学的ニ「アンモニア」亜硝酸ノ痕跡アルモ,又硝酸「クロール」多量ニ含ム時ハ嫌ムヘキ不潔物ニヨリ汚染シタ水トシテ,飲料ニ不適,其ノ限度ハ水1竓中硝酸20ミリグラム,蒸発残渣500グラム,細菌学的ニハ水1竓中バクテリア数500個迄。
これら条件を備えた那珂川の水は,伏流水以外にはないとされた。その入手の方法も,川底に堆積している砂利層を深さ10尺程度掘り下げ,その中に径3尺の鉄筋コンクリート管を延長約150間位埋設し,これにつけている小孔より伏流水を浸透させて集める。それを近くに築造した浄水場内のポンプで導水し,低揚ポンプでろ過池に揚水して浄水とする。それを高揚ポンプで配水塔に揚水し,自然流下式で市内各地に給水するということであった。
これまでの水道布設に関する説明とは大変に異なり,具体的であり,より合理的であったため,委員会としては水源を伏流水利用と決定した。なお,翌9日には委員が市長を始め市当局関係者をも同行して,岡田技師の案内でそれまでの調査で最適の伏流水が入手できた渡里村地内の河岸と配水塔候補地である歩兵第2連隊うらの高地を視察している。