岡田技師は,大正14年11月に那珂川の水道水取水の適地6か所に試掘をして取水井を設け,採水したサンプルの検査を県の警察部衛生課に依頼している。その結果は11月30日に報告された。
ア 下市細谷地先ノ那珂川ノ伏流水 不適
イ 東茨城郡上大野村大字吉沼地先ノ那珂川ノ伏流水 不適
ウ 上市杉山川岸地先ノ那珂川ノ伏流水 「アム((ン))モニア」及「亜硝酸」ノ痕跡
エ 東茨城郡常磐村風呂ノ下地先ノ那珂川ノ伏流水 「アム((ン))モニア多量,但シ表面水ハ適」
オ 同所20間沖(略中央部) 良好
カ 同郡渡里村大字渡里(歩兵第2連隊下)地先ノ沖(略中央部)ノ中州ノ伏流水 最良
そのときの渡里地点中州の伏流水の原水と,そのろ過水の検査表はつぎのようである。
大正15年1月8日にも市関係者が同所で採水して,県警察部衛生課に検査を依頼し,ろ過水については飲用に適するとの回答を得ている。
しかし,水源の決定は,水道事業の成否のカギでもあるから,慎重なる検査が必要と,1月23日に改めて県警察部衛生課に調査を全面的に依頼した。
依頼を受けた衛生課では,住民の保健衛生に直接関係する問題であると,係官が直接に渡里の現場まで出張し,河川表流水,中州の伏流水,そのろ過水などを採水して各種の検査を実施した。その結果をつぎのように正式に報告している。
大正15年2月4日 茨城県警察部
水戸市役所御中
水質検査ノ件
1月23日付水発12号ヲ以テ御依頼ニ係ル水質検査成績左記ノ通ニ候條此段及御通知候也
記
取水場所 東茨城郡渡里村大字渡里歩兵第2連隊下那珂川中洲
検査年月日 大正15年2月4日
おな備考として,殺菌装置が必要なものと認めるともあった。
これらの検査結果を入手した水道調査臨時委員会は同年5月27日に開会し,同29日の続会で第9号ろ過水を水源とすることに決定している。