7 各都市水道の調査

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 調査研究と計画案の作成過程で,先進水道施設を参考とし,布設に関する起債などの財政や認可手続きを知るため,各都市を視察したりアンケート調査をしている。

 視察は,表のように,水道調査臨時委員や市会議員,市当局者が実施し,持ち帰った参考資料や実際の見聞談は市会などを通して市民にも知らされ,水道知識の普及にも役立った。


水道施設の視察


視察都市の水道状況(大正14年当時)

 アンケートは,全国の水道経営中の市町70か所に対して,大正15年12月6日に水道創設当時の総工事費とその財源,上水道計画当時の財政計画を知るために実施した。

 以上の視察やアンケート結果をもとに,水道創設関係財政や手続きについての重要な実例として,豊橋市の水道事業を選んで研究することになり,つぎのような照会回答を要請した。

  水土第57号

  昭和2年2月12日                     水戸市長 鈴木文次郎

    豊橋市長殿

       上水道敷設工費其他ニ関スル件

    御繁忙中甚ダ恐縮ニハ候得共参考ニ供度候ニ付左記事項折返シ御回報相煩度此段及照会候也

        記

    1 上水道敷設総工事費予算額並之ニ対スル国庫及県費補助金額

    2 右補助金年賦交付額(年別ニ記載セラレタシ)

    3 起債額及利率並償還年限

    4 各種給水者戸数ノ全市総戸数ニ対スル割合予定

    5 各給水別料金

    6 敷設認可申請年月日

      右認可年月日

    7 其他参考トナルヘキ事項

 豊橋市は,愛知県の東南端に位置し,豊川の下流で渥美半島の基部に立地する都市。明治39年8月に市制が施行されている。

 市街地は豊川の段丘上にあり,しかも地質が洪積層の砂れき層であるため地下水が深く井戸水が不足し水質も悪かった。大正3年の井戸調査では総数4,447個中908個,すなわち20.4パーセントしか飲用には適さなかった。昭和2年の調査によると煮沸してもろ過しても飲用に適する基準にならない井戸が1,069個中67.2パーセントあったといわれる。

 市は市民生活の向上を願って,大正12年に市営で水道布設することを決定し,翌13年度の予算に水道調査費1,000円を計上して水源調査を始めた。さらに翌年には5,535円を追加して調査を完了し,同15年6月には4か年工期の水道布設計画を市会で議決した。工事費は305万8,752円で,その8割近い269万円を利率7分5厘,2年据置,19年償還の起債とし同年12月には事業認可を得て,昭和2年7月に工事に入った。

 水源は豊川の伏流水とし,4つのろ過池で浄化し,2個の配水池より自然流下方式で給水される。給水予定人口は12万人,1日最大給水量は1万3,440立方メートル,1人1日平均給水量は112リットルと計画されていた。(『豊橋市水道五十年史』)