1 昭和3年7月5日の申請

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 市当局は,昭和3年7月3日に庁内の決裁(会計課長,技師,土木課長,庶務課長,助役,市長)を経て,つぎのような送り状(認可稟請と計画理由書)をつけて水道布設工事認可の申請書を内務大臣あて7月5日に発送した。

水土第176号

昭和3年7月5日

  内務大臣 望月圭介殿

                             水戸市長 鈴木文次郎

      水道布設工事施行ノ儀認可稟請

本市水道布設工事施行ノ儀別紙ノ通市会ノ議決ヲ経候条御認可相成度此段稟請候也

 水道布設計画理由書

本市ハ茨城県庁ノ所在地ニシテ 県下ノ中心タル枢要ノ位置ヲ占メ 地勢上市下市ノ両部面ニ分タル 上市部面ハ土地高燥ニシテ長狭ナル丘陵状ノ台地ヲナシ近時人口ノ増加ト路面下水等ノ完備トハ著シク地下水ノ欠乏ヲ来シ 夏季ニ於テハ井水ノ涸渇ニ苦シムノ実状ニアリ 一朝火災ニ際会シテハ 井水深ク水量不足ニシテ 消防器具ヲ擁シテ袖手傍観スルノ場合ナキニシモアラズ 而モ兵営・高等学校付近ハ人口殊ニ著シク増加シ 加フルニ茨城鉄道ノ開通ニ依リ 最近急激ノ発展ヲ来シ 上水道布設ノ急ニ迫ラレツヽアリ 下市部面ハ土地低湿ニシテ水田ニ連リ 地下水全ク飲用ニ適セズ 藩祖市街開拓ノ初メ 此処ニ水道ノ計画ヲ樹テ市外笠原山麓ノ湧水ヲ導キ 200有余年間コレヲ飲用ニ供シ来リシカ明治43年水道条例ニ拠リ改良工事ヲ施行シ現ニ下市ノ一部ニ給水シツツアルモ 水圧低ク其ノ水量亦充分ナラス 数次水源ヲ拡張セルモ 地勢ノ関係ハ今後拡張ノ余地ヲ存セズ区内人口ノ増殖ハ到底其ノ需要ヲ満足セシムル能ハズ 而モ最近仙波湖内堀埋立ノ完成ヲ見タルモ 此処ニ給スルノ余裕ナク 更ニ近ク水戸電気鉄道開通セバ 此部面ハ著シキ発展ヲ招来スヘク 亦上水道ノ必要ヲ痛感シツツアリ 本市ハ本年1月1日ヨリ都市計画施行地ニ指定セラレ 将ニ発展膨張ノ機運ニアリ 上述ノ如ク各方面ヨリ水道布設ノ急ニ迫ラレツヽアルヲ以テ 爰ニ市会ノ満場一致ヲ以テ工事施行ノ議決ヲ経タル次第ナリ


水道布設認可申請の起案文書(昭和33年月7)

 内容は,水戸市は県庁の所在地で重要な地である。市街地の地形は台地と低地よりなり,台地の上市は人口増加にともなって地下水が不足し,井戸の利用が不便になっている。下市は低地で,地下水の水質は飲用に適さず,江戸時代のはじめより湧水を利用した水道を布設し,明治43年には下市水道として改良したが,水圧と水量が不足し,必要量が確保できなくなっている。鉄道開通も近く,本年は都市計画施行地の指定も受けるなど市街の拡大も予想されるため,市民生活上水道の布設が急務であると,市会において議決したとある。

 添付した資料は,市会で議決された「水戸市水道布設目論見書」「水戸市水道布設工事設計説明書」と関係の図面13葉であった。

 これら工事認可申請とともに市会議案42号で議決したその補助申請書を,つぎのように提出している。

水土第177号

昭和3年7月5日                      水戸市長 鈴木文次郎

内務大臣 望月圭介殿

      水道布設費補助ノ儀ニ付稟請

本市ハ今般水道布設工事施行ノ件ヲ議決シ 認可稟請書提出致候處 其ノ工事費予算総額ハ実ニ金250万円ノ巨額ニ達シ到底市民ノ負担ニ堪ヘ兼候間 何卒事情御同察ノ上 左記ノ金額御補助被成下度 関係書類相添ヘ此段稟請候也

               記

金62万5,000円

    添付書類

 1 昭和3年度水戸市歳入歳出予算決議録

 同日,茨城県知事森岡二朗に対しても「水土第178号」で同文同金額の補助申請書を提出した。

 以上の申請の内容説明と認可促進のために,鈴木市長は県庁や内務省・大蔵省など関係官庁に幾度も足を運んだ。谷伴夫主事や後藤直彦技師を伴つて細部についての説明をし,係官の了解を求める努力をしている。

 ところが,全市水道の布設工事という大工事のため,工事費が巨額なこともあって係官の調査検討が進まず,昭和3年度中には県費補助が12月5日の通常県会で50万円と決定されただけであった。

 県費補助の決定事項

  [自昭和4年度/至昭和15年度]茨城県土木補助費継続年期及支出方法

  金50万円   土木補助費中水戸市水道布設費補助

    内訳

   金1万円       昭和4年度支出額

   金2万円       昭和5年度支出額

   金4万7,000円     昭和6年度支出額

   金4万7,000円     昭和7年度支出額

   金4万7,000円     昭和8年度支出額

   金4万7,000円     昭和9年度支出額

   金4万7,000円     昭和10年度支出額

   金4万7,000円     昭和11年度支出額

   金4万7,000円     昭和12年度支出額

   金4万7,000円     昭和13年度支出額

   金4万7,000円     昭和14年度支出額

   金4万7,000円     昭和15年度支出額

  右ハ水戸市水道布設費ニ補助スル為昭和4年度ヨリ同15年度迄12ケ年度継続費トシテ支出スルモノトス

 これは,早々に決定して計画推進には大変良かったが,予定金額62万5,000円に対して50万円では80パーセントにすぎづ,12万5,000円も不足することになり,財政計画は修正をせまられることになった。