1昭和5年11月28日の市会

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 7月29日付内務省茨衛第1号で水道布設認可,同日付内務省茨地第12号で同関係起債の許可があり,それらに付帯する指令の条件にもとづいて新たな工事実施計画を作ることになった。

 11月26日に開かれた市会には顧問の茂庭忠次郎が参与員として出席し,更正部分について説明をしている。そのときの議案はつぎのようであった。

  第33号 水道布設費起債償還年次更正ノ件

  第34号 水道費継続年期及支出方法変更ノ件

  第35号 市基本財産繰入並繰戻方法変更ノ件

  第37号 昭和5年度水戸市水道布設費歳入歳出更正予算

  第39号 昭和5年度水道費特別税戸数割ノ納期ヲ定ムル件

 工事施行の内容の一部変更と起債額減額許可によって,財政計画を変更することが基本であった。

 これらに関して昭和5年8月1日付で茨城県内務部長より指令があり,実施設計目論見書の改訂を要請されていた。これについて水戸市は,つぎのように認可条件と指令にもとづいた内容変更の作業中であることを回答している。

  水土第283号

  昭和5年9月18日

  茨城県内務部長 蔵重久殿

                                水戸市長 鈴木文次郎

       水道布設認可ニ関スル件

  標記ノ件ニ付去月1日付土発第158号ヲ以テ通牒ノ次第モ有之候処右ニ就テハ本省ノ御指示ニ基ツキ目下実施設計目論見書更生中ニ付更正ノ上ハ提出可致候条御承知相成度不取敢此段及回答候也

その結果が,11月26日の市会となったのである。そのときは提案された議案の内容が重大な問題でもあったため,審議時間の不足で28日に継続市会が開催されて原案通りと決定されている。このような経過により,水戸市の水道布設工事費は,表のように変更され,昭和5年段階では当初予定より39万5,060円,昭和4年11月の更正予算より14万5,060円も減じた210万4,940円(のちには昭和7年度の維持費1万1,891円を含んで211万6,831円とされる)となる。


市会議決の水道布設費の変遷

 これが後日に,実施予算と呼ばれることになる予算案で,昭和5年度に60万2,749円,同6年度に92万540円,同7年度に26万2,802円の支出を予定するつぎのようなものである。


水道布設3か年間継続支出

 収入では,起債が全体の83.1パーセントにあたる190万円,つづいて7.7パーセントの特別税戸数割が17万5,369円,5.2パーセントの一般市費繰入が11万8,699円,県補助が2.9パーセントにあたる6万5,400円,昭和7年度になって入ってくる水道使用料が0.6パーセントの1万3,423円,雑収入が0.4パーセントの1万200円となり,国庫補助はこの時点では3,000円で0.1パーセントとなる。


水道布設3か年間継続収入

 以上の過程をもとに作成された更正実施設計書を,水戸市は昭和6年1月30日に,つぎのような送状をつけて県に提出し,内務大臣に転送を願い出た。

  臨水第82号

     水戸市水道実施設計書報告ニ関スル件

  本市水道布設ノ件客年7月29日付内務省茨城衛第1号ヲ以テ内務大臣ノ認可ヲ得候処右認可条件ニ基キ別冊ノ通実施設計書作製致候条御進達相成度此段及申請候也

   昭和6年1月30日

  茨城県知事 牛島省三殿

                                水戸市長 鈴木文次郎

 つづいて,4月17日には臨水第82号によって県内務部長に,前設計額と更正実施設計額との増減比較表を提出した。

 水道布設目論見書で,前目論見書と異なったのは,第8の起工が昭和5年10月で,竣功が同8年3月になったことである。設計の大要や工事方法については後述することにして布設費の内容をみると,つぎのようである。なお,表中の「前設計額」とは昭和4年11月11日市会での議決額であり,「実施設計額」とは昭和5年11月28日市会での可決額である。


水道布設費増減比較表

 これらを,図のようにしてみると,布設費全体では6.4パーセントの14万5,060円が減額されたことが理解できる。それは全項目が平均的に減少されたのではなく,用地費・建築費・機械器具費・測量及製図費・検査費・電話費などは変化ない。項目で減額は工事費が最も多く92.2パーセント,つづいて予備費96.4パーセント,事務所費96.5パーセントとなる。

 項目中の種目では,浄水場築造費の82.2パーセントから配水工事費の94.4パーセントと減額されているが,水源工事費だけは108.8パーセント増額されている。それは昭和5年7月29日付内務大臣認可の条件中に,「水源集水渠ハ計画ノ位置ヨリ少クトモ1米5ノ深所ニ埋設スルコト」にともなう,人孔井と接合井や深所開鑿の経費増加による。

 事務所費内では俸給関係は変更ないが,備品消耗品と賄費などの需要費は大幅に減額され,手当や賞与そして傭人給などの雑給は5.2パーセントもカットされている。


水道布設工事費の減額率