2 集水管埋設と導水管布設工事

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 集水管は,設計の通りの内径3尺,長さ4尺,厚さ2寸5分で,径8分の7吋の小孔が216個ある鉄筋コンクリート管を長さ150間,地下13尺の深さに6尺角の木枠に納めて,図のように埋設した。その周囲は径1寸から2寸の清浄な砂利で保護し,外側になるにしたがい細砂を入れた。


水源地の集水埋管工事現場

 着工は,那珂川が渇水期に入る昭和5年12月5日で,工期は117日間の翌6年3月31日までとされ,全体を2期に分け,第1期は接合井より上流部の50間,第2期は下流部の100間とされた。工事は砂礫層の崩壊や湧水の侵入を防ぎながら掘るため,仮締切りをするシートパイル(鋼鉄製矢板)を打ち込むことから始まった。第1期分の仮締切りが終了して掘込むことになったが,中州の現地盤より深さ16尺5寸,幅は18尺の土砂を人力で移動させることと,湧水の増加で作業は困難を極めた。排水を口径6吋のポンプ2台,口径4吋のポンプ3台でつづけ,6年2月16日には上流部50本の集水管が埋設できた。この間,市会水道委員が現地視察をし,集水管周囲の玉砂利が設計図と相違していることを指摘して不当工事と問題にすることもあった。


水源工事シートパイル打込の状況


集水管の断面図


集水埋管工事

 3月初めには,第1期工区の掘り上げ作業の遅れで順延になっていた下流100間の第2期区間のパイル打ちが完了し,砂利層の掘込みが開始された。作業は,工期の遅れを取り戻すため急ピッチで進められ掘込み9割,埋戻し7割が完了していたが,3月17日夜に那珂川上流で降った12ミリから15ミリの雨に雪解けも加わって,河川水が増水した。18日の午後8時ごろには,水源工事中の中州で平水位より2尺8寸をも増水し,仮締切りのシートパイルを越える恐れがあった。このため,工事を請負っていた大林組は,早くから集水埋管工事現場の上流部に土俵を積み上げて汚水の流入を防ぎ,堀の中は排水作業を中止して伏流水を充満させ,水圧を利用して土砂壁の保護に努めた。これらの対応策が成功して,集水管埋設地の締切内には泥水の流入はほとんどなく,管周囲の砂利層は汚染されなかったので,作業のやりなおしは必要なかった。ただ,締切内部に溜まった伏流水の排水作業や積み上げた土俵の撤去作業など工事現場の復旧に,4日間も浪費した。


那珂川の洪水

 このため工期予定の3月31日には,集水埋管工事の全ては完了したが,仮締切用に使用したシートパイルの撤去が終了せず,竣功は写真のように4月30日まで1か月も延びてしまった。作業日数147日,掘込んだ総坪数1,026坪6合,作業総人数3,951人であった。


集水埋管・その他水源工事の工程

 導水管は,図のように那珂川中州の集水埋管接合井より,原水が流下するよう800分の1勾配で浄水場内低揚ポンプ場吸水井まで延長111間8分を,内径22吋の普通圧鋳鉄管で結んだものである。その両端には原水の流入を調節することができるように,制水弁が設けられた。


集水埋管・導水管布設現況図

 なお,管の周囲は,保護のため厚さ1尺のコンクリートで覆った。河川底に布設する部分は,1間の間隔で末口5寸,長さ15尺の松丸太を基礎杭として鳥居型に打込み,これを鉄管台木とした。その台木には全て帯鉄を設けて管を固定し,河川底の変化にも耐えられるように工夫してある。以上の工事は,接合井やポンプ場吸水井工事との関係もあって,3区間に分けられ,別々に着工された。

 第1区は接合井より鉄管8間8分までの部分で,集水埋管工事と同じ昭和5年12月5日に着手され,翌年4月30日に竣功した。

 第2区は,ポンプ場吸水井の引入個所を基点とする2間8分の導水鉄管末端部の工事で,低揚ポンプ場の基礎工事が完了した昭和6年5月8日より着工された。工期は翌7年3月31日の予定であったが,大切な個所のため直営で工事されたために早期に完了し,6年7月28日に竣功報告が提出された。


水源地諸工事の竣功報告書(昭和6年5月5日)

 第3区は,第1区と第2区間の鉄管末端を連絡する100間2分の布設工事であった。この工事は,鉄管接合作業を直接に雇用した職工で施工した以外は,全て請負いでとされた。陸上部分は布設管を中心とした幅3間を買収し,埋設完了後は通路として利用することになった。河川流水部は,長さ23尺のシートパイルを使用して仮締切りし,内部を掘り上げた土砂をもって出水に備える堤防を築いた。これら河川水排水と河底の掘込み工事は困難が多く,工事工程日割表の223日以上に日数がかかり,着工は予定通りであったが,工事竣功検査を受けたのが6年9月7日で,届を提出できたのが9月22日となってしまった。

 なお,昭和6年7月14日,導水鉄管布設工事担当員であった技手永島徳が,つぎのように報告している。7月9日夜の降雨で那珂川に増水があった。導水鉄管の布設工事は,河川内部が終了して河岸より堤防迄の,河川敷といわれる部分で作業中であった。そこで出水が始まると,護岸のため土俵を高さ約13尺に積み,鉄管埋設が終了している部分の埋め戻しをし,残っている掘り上げた部分に対する浸水の防止策をした。そのため工事現場は被害がなかったが,請負いの大林組が河川内に仮設していた材料運搬用の桟橋が破壊されて,流失したという。


導水管の工事風景


昭和7年12月14日「いはらき新聞」


水道導水鉄管布設工事工程日割表(大林組提出)


水源地中州の地質図