布設費は,起債額156万2,800円を含んで総額174万2,335円57銭の収入があった。これに対して支出は,布設費149万9,561円82銭と公債利子払い11万6,300円23銭とで161万5,862円5銭であり,12万6,473円52銭の剰余が出た。
それまでも,国庫補助の許可条件の3の2項「工事用材料ニ剰余アリタルトキハ時価ニ換算シ之ヲ剰余ト見做ス」,4の「市ハ剰余ヲ生シタル工費若ハ工事用材料ヲ処分セムトスルトキハ其ノ処分方法ヲ定メ本大臣ニ禀伺スヘシ」により,つぎのような手続を何回かしている。
臨水第613号
不用器械其他物件処分ニ付申請
本市水道布設工事モ来ル6月末日頃竣功ノ見込ニ就テハ同工事用器械其ノ他別紙物件不用ニ相成候ニ付之ヲ売却処分致度候条御認可相成度此段申請候也
追テ処分価格ハ購入価格ノ略3分ノ1程度ヲ以テ致度候条申添候
昭和7年6月20日
水戸市長 鈴木文次郎
内務大臣男爵 山本達雄殿
として44種108個購入時価格6,226円90銭のものの売却認可を申請した。このような不用品売払いによる収入は,5年度は250円,6年度は14円15銭,7年度は2,714円58銭,8年度は172円97銭で,9年度には6,988円24銭となっている。なお,このような処分認可には調査など手続きに時間がかかり,昭和7年6月20日の申請も,認可されたのは昭和9年3月31日であった。市では「今日迄処分セサルニ於テハ多クワ錆ヲ生シ古鉄トシテノ価格トナリ容易ナラサル」と,認可を待たずに売却している。
布設費決算の剰余金については,市会はその用途を市参事会に一任した。市参事会は昭和8年3月29日に会合し,実施設計の一部変更と,その財源に支出不要額となっていた12万6,473円52銭を利用することにした。実施設計の一部変更とは,ポンプ場動力源に,送電系統の故障に備えて予備自家発電装置(100馬力ディーゼル・エンジン)を設置すること。合併した旧常磐村の市街地接属地区に,配水管を布設すること。布設費起債の元金償還財源に,利用することであった。
処分方法案
設計変更工事費 79,633円
内訳
ポンプ費 20,000円
配水工事費 52,309円
事務費 5,011円
予備費 2,313円
市債元利償還(昭和8年度水道費に繰入) 53,190円
以上の計画にもとづき,3月31日には内務大臣に設計変更の許可申請を,4月5日には内務大蔵の両大臣に起債残額使用の許可申請を提出している。これについて,5月27日に県内務部より説明要請があり同29日に具体的資料をつけて報告した。内務省に対しては,6月9日に起債以外の予定財源剰余金についても追申書によって説明をしている。
6月29日には,市会で前記「水道公債の発行」によるように低利債に借替えを議決したことから,水道費財政計画は大きく変化した。そのため,4月5日付の起債残額使用方許可申請,6月9日付の起債残額使用方許可申請に付追申を,7月24日に取り下げている。
新たに,取り下げと同日付で水戸市水道布設費起債残額使用方申請を提出した。これらは昭和9年1月31日に許可された。
剰余金の事務的処理は,布設費決算が完了したあとのため,8年度水道費でなされた。歳入の部の繰入金項目で,当初予算額5万390円とあるのが市債償還の財源補充用で,追加更正された予算額7万9,633円が設計変更工事費である。
実施設計変更工事費は,臨時部として昭和8年3月29日の市参事会決定通り,予備費を除いた7万7,320円の予算案が追加更正として計上されている。これらの決算をみると,予算とは異なり,予備費より3,069円82銭も支出されていた。