2 那珂川下流の調査

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 水源地が海洋に近いとき,潮の干満が原水である河水にどのように影響するのか。市水道課では,このための河川調査を昭和14年11月12日と12月11日,昭和15年1月24日の3回実施した。調査個所は,第1回が5か所,第2回が7か所であった。それらは,調査人員と日程・資材との関係によって決定されたものであって,理想的調査地点ではなく調査結果も満足するものでなかった。この反省によって,昭和15年1月24日には,浄水場水源地より1キロメートル間隔で調査地点を作り,河口部の地点を含めて11か所とした。


那珂川下流の調査地点

 第1回目の課題は,上流地点での潮差の問題,潮差を伝播する各地点の時間,潮の干満による那珂川の流速・流向の変化,海水混入による水質の変異などであった。結果は,調査器材の不足と操作方法の不慣れもあって,課題を解決することにはならなかった。


那珂川の干満差調(昭和14年11月12日)

 第2回目は,潮の干満が最大のときの那珂川の水位状況,それが水質に及ぼす変化を追求すために設定した。

 那珂川の水面は,浄水場地先より下流4.55キロメートル地点にある水府橋付近までは8,000分の1程度,それより下流の13.4キロメートル先にある河口までは2万5,000分の1程度の勾配である。この状況のもとで,午前6時から午後6時までの日中12時間における水位の変化は,河口である海門橋地点で48.0センチメートルの差,河口より約16キロメートル地点の千歳橋では20.3センチメートルの差で,同じく約18キロメートル地点にある芦山浄水場地先では潮差は見られない。このような潮位差の関係が,那珂川の流速・流向に及ぼす影響は大きなものがある。昭和14年12月3日の測定では,水府橋地区で午前8時21分の満潮時に毎秒0.28メートル,午後3時51分の干潮時には毎秒0.472メートルの流速があった。これが,それより1.6キロメートル上流地点の浄水場地先では,満潮時でも毎秒0.4メートルとなっている。


那珂川水位曲線(昭和14年12月11日)

 干満の伝播関係では,河口において最大満潮が午後3時で,それより16.35キロメートル上流の千歳橋の最大満潮は午後4時15分,最大干満は河口が午前10時30分で,千歳橋が午前11時45分となる。これより試算すると,潮位の伝播は,那珂川においては時速で13.08キロメートル,秒速で3.63メートルとなる。


那珂川水位観測表(昭和14年12月11日・天候晴)


那珂川干満潮時水位表(昭和14年12月11日)


満潮時の流速・流向

 第3回目は,前2回の調査の反省をもとに,その調査を補正することで実施された。その結果は,つぎのように整理されている。

1 那珂川流域における干潮は,少なくても水戸市芦山浄水場地先の上流(20km)に及んでいる。

2 河口から11.75キロメートルまでは水面勾配が急ではないため,潮差の影響は大きい。

3 満潮時の那珂川河口における表面水の状態は静止状にあるが,中層または下層水では海水の逆流傾向が強い。

4 以上の点から,那珂川洪水時には,感潮・水面勾配・潮差・干満潮の伝播などの作用が水戸市付近まで影響する。

5 万代橋付近から那珂川河口までの河水は,廃水や潮流による水質の影響が大きい。


那珂川各点水位曲線(昭和15年1月24日)


那珂川海水混入推定図

なお,水質については,つぎのように調査している。




水質検査(昭和15年1月24日)