昭和4年制定の水戸市水道給水条例の第4条に,「水道区域外ノ者ヨリ給水ヲ願出タル場合ニ於テハ之ヲ許可スルコトアルヘシ」とある。昭和7年の水戸市給水条例にも第5条で,昭和4年の第4条と同じ条文があり,市外給水は条件によって許可されるとある。昭和11年水戸市給水条例は,それまでのものと異なり,第1条で「本市水道給水区域ハ水戸市一円トス」と明記し,第4条で昭和4年と同7年両条例と同じ意味の条文を記載している。
なお,昭和7年7月21日には,7年給水条例の第4条をもとに,「水戸市水道市外給水取扱規程」が決定されている。その給水範囲は,水戸市に接して公益上必要とされるもの。給水に必要とされる費用は受益者負担で,計量栓給水とされた。
水戸市水道市外給水取扱規程
第1条 水戸市給水条例第4条ニ依ル市外給水ハ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノニ限ル
1 官公署,兵営,学校,社寺,病院其ノ他之ニ類スルモノ
2 本市ニ接シ特ニ必要在リト認ムルモノ
3 其ノ他公益上必要在リト認ムルモノ
前項市外給水ハ本市ニ於テ水圧維持其ノ他ノ為必要アルトキハ随時給水ノ制限又ハ停止スルコトアルヘシ
第2条 市外給水ハ総テ計量給水ノ方法ニ拠ル
第3条 第1条市外給水ヲ受ケムトスル者ハ第1号様式ノ願書ヲ提出スヘシ
第4条 前条ニ依リ市外給水ノ許可ヲ与ヘムトスルトキハ左ノ各号ニ付異議ナキ旨ノ請書ヲ徴ス但シ願書提出ノ際予メ此ノ旨付記シタル場合ハ本条請書ヲ省略スルコトヲ得
1 随時給水の制限又ハ停止
2 道路及付属工作物ノ改造其ノ他ノ為給水装置の移設,改造又ハ撤去ニ関スル費用負担
3 給水装置ノ維持其ノ他給水ニ関シ要シタル費用負担
第5条 前各条ノ外総テ水戸市給水条例並同施行細則ヲ準用ス
付則
第6条 現ニ旧区域水道ヨリ放任給水ヲ受クル者ハ第2条ノ規程ニ拘ラス当分ノ内特ニ放任給水ニ依ルコトヲ許可スルコトアルヘシ
第7条 本規程ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
以上のような区域外給水の特別許可制は,明治45年6月27日市会議決の水戸市水道給水条例(大生元年9月26日許可)の第4条「水道区域外ノ者ヨリ給水ヲ願出タル場合ニ於テハ之ヲ許可スルコトアルヘシ」より始まる。同施行規程の第6条に,許可願を市長に提出するようになっているが,「許可ハ水道常設委員会ノ承認ヲ受クルモノトス」ともある。
ところが,昭和8年12月11日の水道委員会は,この問題について熱心に協議した。それは,水道区域外の大野村と吉田村には湿地が多く,井戸水は渋水で,飲料に適さなかった。そのため市街地に隣接した地区は,笠原水道・下市水道時代から給水を受け,水道区域に準じて取り扱われていた。全市水道も,その延長線にあって,28栓の共用栓と専用栓をメーター付で設置し,約80戸に給水をしている。
この区域外住民で,新たに配管工事を申請したり,給水許可願をしないで,隣接の住民に私的に謝礼をして使用する者が約50戸あることが判明した。これを「水道設備,用具等ノ異状,給水ノ濫用,盗用,分与,其ノ他給水条例ニ違背シタル行為」を調査する水道監視員が摘発した。これは条例によると,給水提供者が,「2ヵ月以内ノ給水ヲ停止シ又ハ5円以下ノ過料ヲ科ス」(第43条)の処分を受けることになる。
これを知った給水の提供者たちは,善意の行為であって謝礼を目的のものでないと主張し,委員会に処分の保留を要請した。委員会は,新条例施行後の行政指導が不充分であったこともあり,給水料金に不正があったことでもなかったことから,厳重な注意と正式手続きによる給水申請をさせることで解決した。