3 水道開けっ放し

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 昭和8年に,東部電力会社の発電所地方は異常渇水となり,発電能力が低下した。1日3,300キロワットの送電を受けていた市水道浄水場も,昭和9年1月には約1割も送電量をカットされ,8,9の両日には揚水に支障が出てきた。

 中崎俊秀市長は,8日に契約した浄水場非常時用の日立製作所製造100キロワット発電のディーゼル・エンジンの設置促進を指示し,11日には東部電力会社水戸支店に対して,浄水場用契約電力量を完全に供給するように強く要請した。

 そのときの水道使用量は,1戸1日当たりの使用量が平均0.8立方メートルで,1か月約24立方メートルであった。市水道供給計画では,1か月1戸当たり15立方メートルとしていたので,約9立方メートルが超過することになった。

 調査によると,冬期である11月から3月までの水道使用水量の特色は,夜間の配水量が他の月に比較して多いことである。グラフ「時間別配水量」で見ると,低区配水塔統計には少々問題があるのか明瞭でない部分もあるが,全体としては夏期の配水量に対し,冬期の配水量が増大していることは明確である。なお,午前1時よりの3時間の配水量は表のようであって,夏期に対して冬期を見ると,高区配水塔と吉田配水池は平均して2.5倍にもなる。低区配水塔の場合は約2.0倍であった。これを1時間の平均で計算すると,高区は夏期が16.9立方メートルに対し冬期は42.5立方メートル,低区は23.4立方メートルに対して45.0立方メートル,吉田は6.0立方メートルに対して14.9立方メートルとなる。


時間別配水量


午前1時より同4時までの配水量

 この原因は,深夜でもあるから家事用や営業用などからする多量使用は考えられないので,配水・給水鉄管などからの自然漏水と給水栓からの放流とみられた。冬期の配水量との比較で夏期の配水量を自然漏水と仮定すれば,高区で1時間当たり25.6立方メートル,低区で21.6立方メートル,吉田で8.9立方メートルの放流があったことになる。

 以上の件について,市水道課が昭和10年1月につぎのような注意書を配布しているので,給水栓凍結防止のための出し放しに原因があることが理解できる。

1 給水栓又は栓の凍結予防方法

 御就寝前に給水栓(寒気が特に激しい時は栓又は立上りの所)に乾燥した布,縄,綿布,毛布類を巻き付けること,但し「ゴムホース」等使用の方は同時に取外すこと。

2 凍結した時の解凍方法

 給水栓が凍結したときは綿布類を当てた上から間接に温湯を注ぎ掛けること。但し熱湯を直接掛けると器具其の他破裂の恐れがあります。

3 破損又は漏水の場合

 給水栓其の他故障に依る漏水のときは直ぐ御電話(959番)を御願いひ(い)します即時修繕に参上致します。

4 放流

 凍結の予防と称し少量宛の放流される向がありますが,之は極めて弊害が多いのみならず違背行為として科料の処分を受けますから特に御注意下さい。


昭和10年1月15日「いはらき新聞」

 それでも深夜の流出が続くので,1月23日には旧下市方面の取り締りが実施された。時間の問題もあつて専用栓など家屋内の放流は摘発できなかったが,共同栓で13件,私設栓で15件が違反とされ,罰金の納入を命じられている。

 昭和11年からは放流問題以外に,水道管破裂の続出が問題となる。昭和13年1月には4日に88件,5日に116件と引込み鉛管が破裂,同14年1月12日にも160余か所が破裂し,応急処理に水道課員が総出で作業しても追い付かない状況もあった。市では,例年のように水道管凍結が始まりそうな時期に入ると,昭和10年に発行した凍結防止対策を説明したパンフレットを配布し続けた。


昭和10年1月25日「いはらき新聞」


昭和11年1月22日「いはらき新聞」


昭和13年1月7日「いはらき新聞」


昭和14年1月13日「いはらき新聞」


昭和14年12月24日「いはらき新聞」

 昭和10年9月1日より,明治43年以来使用してきた公設共用栓の三角型鍵を四角型鍵に改めるために交換を始めた。長い間同型の鍵を使用していて,台帳に登録されない所持者がいたり,1戸で3個も所有するなど水道取り締まりができないこともあり,この給水栓使用者には料金の滞納も多かった。これらを解決する手段として,本来の公設共用栓使用資格のある者に,新型の鍵を公布して水道の節水体制を策る計画であった。