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夏目漱石書簡
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大正2年(1913)
十月十六日(木)
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[表]
大正二年 十月十六日 木 午後零時―一時
芝区三田四国町二ノ一
小宮豊隆様
牛込早稲田南町七
夏目金之助
[裏]
三重吉のやる事は虚栄心ばかりではなく、其作物に対する信念の欠乏から出てゐるのでせう。だから切抜をもつてゐるものが二十人もあれば自分の声名の保証になるから嬉しいのでせう。気の毒でもあるが致し方がない。僕が何かいふのは残酷である。それから大将僕なんかのいふ事を聞く耳をつけてゐない。天然が彼を療治するのを待つより致し方はない。