三月二十六日(月)

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[表]
消印27日午後1時-2時
青山南町六ノ一〇八
 小宮豊隆様
    本郷区弥生町二
     寺田寅彦


[裏]
御不幸の事は松根さんから伺つて承知しながら御見舞も申しませんでした 御容捨を願ひます。」 小生今月の九日会も百日祭も不参、早稲田へも御無沙汰致して居ます。廿八日の御会へは是非出席したいのですが同日は最終の実習をやらせる日なので無拠定刻には参りかね残念です、夜迄も続くのなら夜は参られますがそれ程長くかゝる事もあるまいかと存じます、どうか皆様へ重々の怠慢の御詫よろしく御取り成しを願ひます、」 もと熊本高等学校に居た鉱物の先生で篠本といふ人が夏目先生の子供の時の友達であつたそうですが其人から小生へ先生の少年時代の逸話を色〻知らせて来てあります。次の九日会にでも持つて行つて御目にかけようと存じて居ます、」重〻の御無沙汰で相済みませんがどうか悪しからず御諒察を祈ります
        三月廿六日夜