十月頃

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[表]
消印(月日不明)午前(以下不明)
青山南町六の一〇八
 小宮豊隆様
    本郷曙町十三
     寺田寅彦


[裏]
拝復、小説中の俳句は句集には入れなくてもよいと思ひます 書簡中のものは入れ度い 此点も御同感です。小説中の歌のようなものも重出の必要なからんと存候、前後の文章と相待つて始めて真価を発揮すべき筈のもので此れを切り抜(ママ)しては別物になる理屈だろうと思ひます。手紙中の句は無論其れだけで独立の作品と見るべきかと考へます。」
俳体詩と先生自ら名づけられたものは一まとめにししからざるものや不明のものは別にし度と存じます
事実上俳体詩と名のついたものは或る短い期間だけに出たものでそういふ事実の史料として忠実に区別した方がよいかも知れない、」尤も此れは大して主張する程でもありませんが御尋ねにより考へたまゝを申上ます〔以上ペン書き〕
アラヽギノ小品は面白いぢやありませんか〔この一行鉛筆書き〕