今川、祓川両河川の流域は、基本的には変成岩類とそれに貫入する白亜紀花崗岩(かこうがん)類が基盤岩として存在し、それを南方の英彦山山地、犬ケ岳・求菩提山地から供給された火山岩が覆う。一方、花崗岩類からなる丘陵地北端部以北の行橋平野には、第四紀の砂礫(されき)層が分布する(第2図)。
第2図 豊津町の地質
(福岡県、1970a、-b、1971)
変成岩類は、三郡変成帯に属し、今川の中流部を挟んで、添田町野田から東北東へ延び、油木を経て犢牛(こっとい)岳(六九一メートル)の北方に達する地域に主として分布する。また、城井川流域の伝法寺付近にも小分布がみられる。この変成岩類は田川変成岩類と呼ばれており、千枚岩・黒色砂質準片岩・雲母片岩が主で、一部にチャート・石灰岩・緑色岩を挟んでいる。これらはいずれも花崗岩類の貫入を受け、ホルンフェルス化を受けている。特に伝法寺に分布する変成岩類はホルンフェルス化が進んで、堅硬であるため、峡谷部をなしている。
白亜紀花崗岩類は、「田川」図幅の中央部を南北に走る湯山断層以東に広く分布する。これは真崎、添田、油須原各岩体に分けられている(唐木田、一九八五)。一般的に、よく風化し、「マサ」状になっている。
火山岩類は、いわゆる耶馬渓層下部層にあたり、凝灰角礫岩とその上位にのる輝石安山岩熔岩からなる。今川と祓川の間の山地には、広く分布するが、蔵持山地がその北端をなす。祓川と城井川の間の山地では伝法寺西方まで、火山岩類からなる山地が分布する。
豊津町域には花崗岩類とそれを基盤とする扇状地礫層、段丘砂礫層が分布するのみで、河川沿いには沖積層が分布する。