L面は行橋平野で最低位の段丘面で、主に扇状地の形態をとる。黒田の長峡川の旧流路による扇状地、祓川左岸の福原を中心とする扇状地、今川左岸の飯岳山東麓から流下する支流の作った小扇状地、城井川左岸の築城市街地ののる扇状地などである。このうち長峡川については現在の長峡川の流路とは異なり、勝山から北東方向に、花崗岩からなる山地の間を流れていた流路跡がL面をなし、その傾きは〇・三四度である。すなわち河川争奪により形成された面がL面で、勝山では現在の長峡川との間に比高二~三メートルの崖があり、風隙の地形も残っている。この面の下流側は沖積面下に埋没する。また福原の扇状地も先端部が沖積面下に没し、その連続は沖積面下に追跡できる。
堆積物は福原では最大径二〇センチメートル、平均径五センチメートルの扇状地礫層である。この段丘面には阿蘇4火砕流に関係する火山灰層はみられないことから、七・五万年以降に形成された面をすべて含んでいる可能性がある。