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〔行橋平野の低地〕

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 低地は飯岳地塊列以北の行橋平野北部(行橋盆地)によく発達する。しかしながら、今川を境にしてその性格を異にし、分布高度にも違いがみられる。今川左岸以北の長峡川・小波瀬川流域では海抜五メートル以下の地域がおよそ五キロメートル内陸まで続き、海抜一〇メートル以下の地域も七~八キロメートル内陸まで広がる。これに対して今川右岸の祓川流域では、河口からおよそ一・五キロメートルで海抜五メートル、三キロメートルで一〇メートルの高度になる。長峡川・小波瀬川流域では低湿な地域が広く、三角州・海岸平野の地形が主であるのに対して、祓川流域では網状流的な流路跡が明瞭で、扇状地の地形が主であることを示している(千田、一九八五)。低地の地形からもその違いが分かる(第5図)。
 

第5図 行橋平野の低地の地形(千田 1985)

 
 現在の各河川の河口付近は近世以降の新田開発により干拓が行われたものである。また今井を中心として西北西―東南東に延びる浜堤は新田開発以前の時期の海岸線を示す砂堆である。