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(1) 高位段丘(H2)面

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 豊津町における高位段丘面は、行橋平野全体のH2面が最高位である。今川と祓川に挟まれた豊津原に分布する段丘面で、扇状地礫層が堆積し、祓川の扇状地として形成されたものである。分布高度は、最高所の台ヶ下で八六・二メートル、最低は八景山付近の四〇メートルである。本段丘面は、北および北西方向へ〇・八八度の勾配で傾くが、上流側に当たる南部には風隙の地形が幾つかみられる。特に上荒谷では、上流側に浅く開いた谷があり、海抜七〇メートルの地点に分水界がある。これはH2面形成後、開析される過程で、当時のこの地点での開析谷の谷底高度が七〇メートルであったことを意味している。これは祓川が西から東へ河道を移していく過程で、河川争奪の現象が起き、それによりかつての開析谷の上流が別の河川の上流へと変化していく様子を知ることができる。また、祓川の上流域にはこの扇状地に相当する河成段丘面が点在する。節丸から犀川町下木井にかけての祓川の両岸の九〇~一〇〇メートルの高度には、それがよく残っている。H2面形成時の祓川の河道の高度は、下木井付近で海抜一〇〇メートル、節丸付近で海抜九〇メートル、台ヶ下付近で八六メートル前後にあったと考えられる。それ以後現在までに祓川は三〇~四〇メートルの高度を浸食したことになる。今川流域にはH2面はみられない。
 H2面を形成する堆積物は、豊津町台ヶ下では分級のよくない最大径二メートル、平均径一〇~一五センチメートルの円礫~亜円礫からなる砂礫層が、二〇メートル以上の厚さでみられる。礫種は安山岩、凝灰岩、花崗岩などで風化が著しく、かなりクサリ礫化している。また、赤色化も著しく、上部の砂質部では2.5YR4/8を示し、礫は7.5R4/8を示すものもある。砂礫層の厚さは一〇~二〇メートルである。上流側の河成段丘としてのH2面は豊津町節丸西方の祓川左岸から上流の下木井にかけての九〇~一〇〇メートルの高度でみられる。堆積物は赤色化・クサリ礫化した砂礫層であり、豊津付近の扇状地と同様である(第8図)。
 

第8図 内垣におけるH2面の堆積物