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(2) 中位段丘面

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 i 中位段丘(M1)面
 M1面は祓川右岸の豊津町綾野付近から北東方向に稲童まで広がる開析扇状地面で、高度六〇メートルから一二メートルまで〇・四一度で傾き下がる。高位扇状地面のH2面に比べると、かなり緩やかである。この段丘面は浅い谷により開析されており、随所に、河川争奪の結果としての風隙の地形が残っている。しかし、農地の構造改善事業で、水田の区画整理が行われたため、傾斜に直行する方向での浅い谷と段丘面の繰り返しの地形が不明瞭になった。
 堆積物は、粗粒で、分級のよくない円礫からなり、安山岩礫が多い。赤色化・クサリ礫化も著しい。行橋市稲童では下部の五メートル以上が礫層で、最大径三〇センチメートル、平均径一〇センチメートルの分級の悪い円礫層で、直径一五センチメートルの大きさの礫まで風化してクサリ礫化している。また礫層の上部一メートルは2.5YR4/8に赤色化している。その上位に一メートルの厚さで上部に腐植物を持つ砂層がのり、更に上位に一・五メートルの厚さの火山灰層がのる。この火山灰層には北部のように明瞭な球殼体集積部が認められないが、阿蘇4火砕流に関係するものと考えられる。
 
 ii 中位段丘(M2)面
 本面は行橋平野全体では、より高位の段丘面を取り巻くように平野全域に分布するが、祓川沿いではM2面はM1面の浸食面としてみられるのみである。飯岳地塊列以北の行橋平野北部では、M1面にみられる火山灰層と全く同じ火山灰層が分布する。
 一方、南部ではM1面と同様に火砕流堆積物は分布せず、阿蘇4火砕流に伴う降下火山灰層が分布する。それゆえM2面までの段丘面は、七・五万年前以前に形成されたと考えることができる。