豊津町付近では、旧石器時代の遺跡の分布は多くない。豊津町北方の行橋市鬼熊遺跡では弥生・古墳・中世の各時代の遺物とともに旧石器時代の石器が出土した。豊津町長養池遺跡は長養池畔からナイフ型石器などが採集され、旧石器時代後期・晩期の遺跡と推定されている。このうち、長養池遺跡は高位段丘面の開析谷の谷壁緩斜面に当たり、開析谷自体が小規模であることから、存在の可能性は問題がない。鬼熊遺跡については、河道跡に挟まれ、それより二メートル程度高位にある、自然堤防状の地形上に位置している。この位置は低位段丘面上ではなく、沖積面上であることから、陸化の時期が不明である。しかし、低位段丘面が埋積されずに残っている可能性もあり、更なる検討が必要である。