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四 台風・秋霖

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 熱帯地方で発生する低気圧を熱帯低気圧といい、北西太平洋で発生した熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速が毎秒一七・二メートル以上になったものを台風という。一年間に発生する台風は、平均すると約二七個である。月別発生数、九州への上陸数は八月が最も多く、九月、七月がこれに次ぐ。
 福岡で観測された最大風速や最大瞬間風速の五位までの値は、すべて台風によるものである。台風が九州のすぐ西側を北上した場合と、強い台風が九州を縦断した場合に記録されている。
 台風は熱帯で発生し、多量の水分を含んでいるため、暴風とともに大雨をもたらす。特に秋には、日本付近にある秋雨前線の活動を強めて、大雨を降らせることが多い。
 九月になると太平洋高気圧が後退し、「北高南低」の気圧配置となり、日本の南岸には前線が停滞しやすくなる。このため、曇りや雨の日が続く時期が現れる。この前線を秋霖前線あるいは秋雨前線と呼び、この時期はもう一つの雨季である秋霖と呼ばれる。この時期は九州よりむしろ東日本で顕著に現れ、東日本では梅雨季の降水量より秋霖季の降水量のほうが多い。