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長養池遺跡

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当遺跡は、豊津丘陵が北方で幾つかに分かれる小支丘のうち、甲塚(かぶとづか)から八景山に延びる支丘と国分から長養に延びる支丘の付け根付近に位置する。遺跡は長養池の西岸中央部に突き出た突出部の岸にあり、標高は約三三メートルである。
 遺物は表面採集によって発見されたナイフ形石器が一点のみである(第4図5)。この石器は黒曜石の縦長剝片を素材として、打面部と剝離末端部、一方の側縁部の三面に刃潰(つぶ)しを施す。刃部は剝片の鋭い縁辺を利用して、やや斜めに作りだす。大きさは長さ二・〇センチメートル、幅一・三センチメートルと小さく、厚さは〇・七センチメートルである。全体の形態は台形様石器に似ており、ナイフ形石器文化のなかでも終末期的様相を示すものである。