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京築地域の遺跡

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当地域では、先の豊津町徳永川ノ上遺跡や長養池遺跡のほかに、椎田町原池から黒曜石製の舟底形細石刃核が発見されている。大きさは長さ二・八センチメートル、幅一・九センチメートル、厚さ一・五センチメートルである。築城町安武の十双遺跡から出土した安山岩製の石器は、長さ一六・三センチメートル、幅三・四センチメートル、厚さ二・〇センチメートルを計り、尖頭器の可能性がある(第6図1)。豊前市青畑向原遺跡からは黒曜石製および水晶(?)製のナイフ形石器と剝片尖頭器・スクレイパーなどが出土している。第6図8は伊万里湾産黒曜石製のナイフ形石器で、長さ二・四二センチメートル、幅〇・八七センチメートル、厚さ〇・二七センチメートルである。11は安山岩ないし流紋岩製の剝片尖頭器で、残存長九・四センチメートル、幅四・一センチメートル、厚さ二・八センチメートルである。苅田町富久遺跡から出土した安山岩製のナイフ形石器は、長さ七・四センチメートル、幅二・二センチメートルの断面三角形をなす製品である(第6図2)。
 これら以外にも第6図に示すとおり、大平村のにごり池畔から大分県姫島産黒曜石製のナイフ形石器(3)、同池田池畔から変成岩製の船野型細石刃核(7)、同桑野遺跡から変成岩製のナイフ形石器(4)、同上の熊遺跡から安山岩製のナイフ形石器(5)、同金居塚(かないづか)遺跡から珪化木(けいかぼく)製かと思われるナイフ形石器(6)、同萱場(かやば)遺跡からも安山岩または玄武岩製の打製石斧などが出土している。豊前市では小石原泉遺跡で細石核と尖頭器が出土している。行橋市では鬼熊遺跡からチャート製のナイフ形石器一点と石核二点が出土しており、苅田町新津原山古墳群からも旧石器時代に属すると考えられるナイフ形石器や剝片数点が出土している。
 また、苅田町青龍窟は、カルスト台地平尾台の石灰岩地帯に形成された鍾乳洞であるが、内部からステゴドン(東洋象)やナウマンゾウ・オオツノジカ・イノシシなどの骨が出土しており、今後旧石器時代の遺構・遺物だけでなく、化石人骨が発見される可能性もある。
 

第6図 京築地域出土の旧石器