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目次
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第二編 先史・原史
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第一章 旧石器時代
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第四節 北部九州の旧石器時代の遺跡
前期旧石器の遺跡
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北部九州で前期旧石器に属するといわれる遺跡には、大分県日出(ひじ)町早水台(そうずだい)遺跡・大分市丹生(にゅう)遺跡・福岡県瀬高町清水遺跡などがある。これらの遺跡からは礫核石器やチョッパーなどが出土しており、その形態的特徴から一〇万年前後までさかのぼると考えられている。しかし、石器のなかには、出土状況に疑問が残るものや、人工品ではなく自然作用のなかで偶然できた偽石器の可能性があるものもある。
また、北九州市辻田遺跡では、チョッパーや尖頭状石器など一三点の石器が出土しているが、これらは「中期旧石器」とも呼ばれる時期の遺物と考えられている。
長崎県吉井町福井岩陰第一五層(第7文化層)は、放射性炭素による年代測定で三万一九〇〇年前の層位とされ、出土した安山岩製の両面加工石器は約三万年前にさかのぼりうるとされている(第7図参照)。
第7図 長崎県福井洞穴出土遺物
(芹沢長介「日本旧石器の研究史」『新版考古学講座3』より)