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動物相の変化

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自生する植物の変化に伴い、そこに生息する動物も温暖な環境に適応した多彩な種に変わり、その骨格や遺骸が、生活廃棄物を捨てた貝塚などから多量に発見されている。
 海生動物としては、マダイ・スズキ・イワシ類・マグロなどの魚類やハマグリ・カキ・アサリ・オキシジミ・アワビ・サザエなどの貝類のほかに、関東・中部以北の沿岸部ではクジラ類・イルカ類・アシカ・アザラシなどの哺乳動物の骨が発見されている。陸生動物では、本州から九州にかけてイノシシ・ニホンジカ・ツキノワグマ・ニホンザル・タヌキ・オオカミ・キツネなどが、北海道ではエゾシカ・ヒグマ・キタキツネなどが見つかっている。また魚類ではコイ・フナ・ウナギなどがあり、東北から北海道の河川ではサケやマスが捕れた。
 これらの動植物は、季節の変化により捕獲・採集される種類は異なっていたが、全体としては現在の日本列島周辺でみられる自然環境の基本相がこの縄文時代に形づくられている。