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草創期

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国内で発見されている最も古い土器は、長崎県福井洞穴第3層出土の隆起線文土器が約一万二八〇〇年前とされており、愛媛県上黒岩岩陰遺跡の隆起線文土器は約一万二二〇〇年前となっている。また、長崎県泉福寺(せんぷくじ)洞窟出土の豆粒文(とうりゅうもん)土器はこれらより古い土器といわれている(第2図参照)。草創期の後半には爪形文(つめがたもん)土器・条痕文土器が現れる。これらの土器群は、現在発見されている世界最古の土器群であるが、土器製作の発生が日本列島内であったかどうかは即断できない。土器の用途は大部分が煮炊き用で、形態は当初から丸底と平底の二種類があった。なお、縄文時代の土器の器形には、深鉢・浅鉢・壺(つぼ)・注口土器などがあるが、各時期を通じて普遍的に使用されたのは深鉢である。
 狩猟方法では、旧石器時代の槍(やり)を中心とした方法から、弓矢とイヌを使った方法へと変化した。新潟県小瀬ケ沢洞窟からは木葉形尖頭器・有舌尖頭器・石鏃(せきぞく)などの狩猟用石器が出土しているが、突く槍→投げる槍→飛ばす矢の変化がこの時期にあったとされている。