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遺跡の性格

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住居跡のなかには切り合って重複するものもあり、その総数は三〇軒前後になるものと予想される。
 住居跡の平面形をみると、円形または楕円形が一六軒、方形に近いものが三軒となっている。個々の住居跡は、この平面形の違いによって、それぞれ特徴を備えている。つまり、円形の住居跡は床面が皿状にくぼみ、深さが深いものが多い。方形に近いものでは床面が平坦で、壁も垂直に近く立ち上がっているものが多い。
 大部分の住居跡内の床面中央部付近には各種の炉が設置されているが、その種類と数は石組み炉を持つ住居跡が四軒、土器炉を持つ住居跡が三軒、地床炉が検出された住居跡が八軒である。このうち、石組み炉と土器炉、石組み炉と地床炉の両方を備えた住居跡が各一軒ずつあった。石組み炉は住居跡外からも六基検出された。その特徴は径二〇~五〇センチメートルのやや扁平な河原石を使用し、平面形が直径五〇~六〇センチメートル程度の円形をなすことである。土器炉は土器がかろうじて入る大きさの穴に、底を打ち欠いた土器を据えている。地床炉は円形または方形のピット状をなすものと、床面が褐色に変色するのみでピット状をなさないものとがあるが、ピット状をなすものは床面の変色がみられず、内部に炭化物が詰まっているのが特徴である。当遣跡の特徴の一つに、さまざまな作り方の炉が使われていたことがあげられる。
 また、出土遺物のうち石器からは、当時の食料の獲得方法を推定することができる。つまり、石鏃の存在は動物を狩猟していたことを示し、多量に出土した石錘は魚類を捕る網のおもりであることから、漁労が盛んであったことを示す。また、磨石も多く出土しているが、これはクルミやトチの実などの堅果類をすりつぶすために頻繁に使用されている。
 更に、扁平打製石器は一般的に地面に穴を掘る際に用いられるが、畑を耕す場合にも使用される。特徴的な石器としては、5号住居跡から出土した横長剝片を利用し長辺の一つに刃部を付けた石器がある。この石器は雑穀類の穂を刈り取る道具の可能性がある。
 当遺跡で出土した遺物はパンコンテナ四〇〇箱分にのぼり、このうち土器が九割以上を占める。これらの土器は縄文時代後期中ごろから晩期初めにかけての連続した各時期のものがあり、北部九州の一般的傾向と同一歩調をとりながらも、文様の形式など当地方独自の地域色を示すものもみられる。