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植物性食料の採集活動

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縄文時代の照葉樹林・落葉樹林の自然環境のなかで、最も豊富でかつ容易に採集できる植物性食料はクリ・ドングリ類などの堅果類であった。後期中葉に属する山崎・石町遺跡の1号竪穴住居跡からはクヌギ類・ナラ類・カシ類・シイ類などが出土している。これらのドングリ類は煮沸や水さらしして粒のまま食べることもできるが、石皿や磨石・敲石などの石器で製粉して食用に供する場合も多かったと想像される。
 また、イモ類やユリ根などの根茎類も重要な食料であったが、これらを掘る道具として使用されたのが打製石斧である。打製石斧は中部地方から西部関東地方では中期に多量に使用されており、九州地方では後期後半から晩期の遺跡で多量に出土し、焼畑農耕の存在を示す資料ともいわれている。当地域でも後期・晩期の節丸西遺跡、松丸D遺跡、山崎・石町遺跡、原井三ツ江遺跡、土佐井遺跡などの集落跡で多数出土している。