弥生時代の水稲耕作は、初期の水田にみられるように当初から完成した形で伝来している。使用された主な農耕具も太形蛤刃石斧・扁平片刃石斧・柱状片刃石斧・石庖丁などの大陸系磨製石器や木製農具など、新しい道具によって構成されている。これらの道具のうち、大陸系磨製石器は朝鮮半島の遺跡から出土するものと類似し、特に抉入(えぐりいり)柱状片刃石斧・有柄(ゆうへい)式磨製石剣・柳葉形磨製石鏃や、擦切(すりきり)技法による孔を施す石庖丁などは日本と朝鮮半島南部にだけ分布するものである(第2図)。
第2図 弥生時代初期の大陸系磨製石器
土器についてみると、壺・甕・高坏(たかつき)・鉢の四種類に機能分化した土器が使用されるが、このうち甕・高坏・鉢は従来の縄文時代晩期の深鉢・浅鉢から変化したものである。しかし壺は新しく導入された器形である。