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鉄器

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青銅器とともに弥生時代の主要な道具に鉄器が使用されている。鉄器の場合、青銅器のように祭祀用具としてではなく、武器や農具・工具として使用される場合が多い(第6図参照)。
 鉄製の武器には鉄剣・鉄戈・鉄矛(1・2・5)があり、ほかにも鉄鑓(やり)・鉄鏃(3・6)などがある。また、後期を中心に刀が現れ、柄の端に円環をつける素環頭(そかんとう)のもの(4)もある。
 農具の鉄器化は中期後半から後期にかけて進行する。石鎌が鉄鎌(7)に、石庖丁が鉄製手鎌に変化し、木製の鋤(すき)や鍬(くわ)などの農具の刃先に鉄刃(8)をはめこんで使用するようになる。
 工具では鉄斧(12・13)が前期末から使用され、後期には各種の磨製石斧は消滅する。鉄斧は全体が板状のもの(12)と、柄に装着する部分が袋状のもの(13)とがある。木材の加工用工具ではほかに鉇(やりがんな)・刀子(とうす)(ナイフ)・鑿(のみ)などの鉄製品(10・11)がある。これら以外にも、釣針などの漁労具に鉄製品がある。