第58図 佐賀県千塔山遺跡弥生時代後期集落配置図
(下篠信行氏原図)
中期以後顕著になる特定集団の墓地は、後期初頭には王墓と考えられる特定個人墓へと変化し、福岡県西部から佐賀県北部で発見されている。末羅国の佐賀県唐津市桜馬場遺跡には後漢の方格規矩鏡二面・巴形銅器三点・銅釧(くしろ)二六点を副葬する甕棺墓がある。伊都国では前原市井原鑓溝遺跡の甕棺墓から方格規矩鏡二一面以上・巴形銅器三点などが発見され、平原遺跡の方形周溝墓からも方格規矩鏡などの中国鏡三七面と日本最大の仿製内行花文鏡五面などが出土している。このように、後期に営まれる首長層ら特定個人のための墳墓が、次の時代では前方後円墳を典型とする古墳の築造へと移行していく。