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古墳の種類と構造

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古墳を幾つかの要素に分けるとすると、外表施設を含めた墳丘と内部主体・副葬品などに分けることができる。古墳時代は四〇〇年前後続いた時代であり、これらの各要素も時期や地域によって各種のものがみられる。墳丘についてみると、頂点に立つのは前方後円墳で、次に前方後方墳が続き、数の多い円墳・方墳はその下にくる。また、まれに双方中円墳や上円下方墳・多角形墳などもある。大きさは、日本最大の前方後円墳の大阪府大仙陵(仁徳天皇陵古墳)は墳丘全長四八〇メートル・高さ三五メートルを計るが、終末期の群集墳では一〇メートル以下の円墳が数多くある。墳丘の表面は葺石で覆われ、埴輪や石造品・木製品などが立てられている古墳もある。
 次に内部主体は、基本的に棺と室(槨(かく)の場合もある)とからなるが、棺だけの場合もある。棺には木棺・石棺・陶棺などがある。前期古墳の割竹形木棺は西日本各地の主要古墳に使用されている。石棺には割竹形石棺・舟形石棺・長持形石棺・家形石棺などがある。陶棺は土師質や須恵質の土器で作った棺で、中国地方西部から畿内で多く使用されている。これらの棺を安置するための室(槨)は、前期から中期前半まで竪穴式石室または粘土槨が一般的である。中期後半になると竪穴状の石室の小口側から遺体を搬入するような竪穴系横口式石室が現れる。後期では石室はほとんど横穴式石室になり、複数の遺体を埋葬することが可能になる。