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1号墳の調査

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墳丘は二段築成で、高さは約四メートルで、墳丘全体に葺石が観察されていた。墳丘の直径は二八メートルで、幅四メートルの周濠がめぐらされていた。
 内部主体は大形の箱式石棺一基で、内面に丹彩が施されていたが、全体の規模は不明である。
 出土遺物は銅鏡二面・鉄剣四本・鉄刀一本・刀子五本のほか鉄製の針や用途不明の鉄器がある。なお、硬玉製勾玉などの玉類が調査前に持ち去られたとの伝聞もある。銅鏡は一面が直径九・五センチメートルの仿製平縁変形獣帯鏡(第10図)で、一部に平織絹布の付着がみられる。もう一面は、仿製平縁乳文鏡(第10図)で、直径一四・二センチメートルで、同様に鏡面全体に平織絹布の付着が著しい。鉄剣は四本ともほぼ同じ形態をなすもので、最も残存の良いものは全長四〇・八センチメートルを計る。鉄刀は先端部が欠損しているが、全長四〇センチメートル前後で、茎の長さは八センチメートルである。刀子のうち二本は茎の部分が蕨手(わらびで)の形態をなすものである。針は先端部が折損しているが、長さ九センチメートル前後と推定され、基部に糸を通す針穴がある。

第10図 柱松古墳群出土銅鏡