ビューア該当ページ

出土遺物

271 ~ 271 / 1391ページ
墳丘のトレンチからは、古墳時代と弥生時代の遺物が出土している(第17図15~20)。第17図15~20は南側下位段築部平坦面上から出土した須恵器のセットである。15・16は良質の〓(はそう)で、法量は15が器高一三・九センチメートル、胴部最大径七・五センチメートル、口縁部径一二・〇センチメートルであり、16が器高一二・八センチメートル、胴部最大径六・九センチメートル、口縁部径一一・三センチメートルである。17・18はミニチュアの高坏で、15・16の〓と同様の焼成品である。法量は17が器高三・七センチメートル、脚部径四・八センチメートル、口縁部径六・三センチメートルで、18が器高三・六センチメートル、脚部径四・八センチメートル、口縁部径六・五センチメートルである。19・20はともに大型の甕で、20は器高一〇八・八センチメートル、胴部最大径九〇・二センチメートル、口縁部径五五・四センチメートルと、非常に大型の完形品である。
 石室内からは近・現代の遺物とともに、古墳時代の須恵器が数十点出土している(第17図1~14)。しかし、後世の攪乱のため、原位置を保つ完形品はなく、出土状態から初葬・追葬の別を判断できなかった。2~5・12・13はすべて玄室内から出土した須恵器である。2はミニチュアの高坏、3・4は高坏で、12は坏身の口縁部の小片である。13は平瓶または長頸壺の口縁部と考えられる。6・8は前室内から出土した須恵器で、6が脚付壺の脚部、8は〓である。1・7・9~11・14は墓道内から出土した須恵器で、7が〓、14は提瓶(さげべ)である。

第17図 甲塚方墳墳丘出土遺物実測図
 (1~18は1/4、19は3/32、20は3/64)