出土遺物として窯内から出土したものは、完形品の〓と甕の破片である。ここでは〓を取り上げて説明をする。〓(グラビア参照)は、この窯での一等資料で、胎土に細砂粒を含み、色調は灰色で、焼成は堅固である。口径九・四センチメートルで、器高一四・一センチメートルの完品である。鋭く調整した二重口端をもち、体部に濃厚な自然釉が残るが、底部の焼きは不良である。器面の調整はヨコナデを中心として、丁寧なナデを施している。二重口縁部には自然釉の発色がみられない。この遺物からほぼ年代がおさえられた。
この窯跡の窯底面の残留磁気年代測定法による科学的分析から、A・D・四四〇±一〇年という推定年代を得ている。これと、出土した遺物によって、五世紀前半ごろの初期須恵器の窯跡であることが判明し、今後に大きな課題を残している。