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研究会の活動と成果

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豊前国府・国分寺調査研究会の日常的な活動は(1)機関紙の発行 (2)見学会の開催 (3)国府・国分寺周辺の地表調査 (4)研究会・講演会の開催を行うことであった。活動の詳しい記述は避けるとして、会の機関紙「とよ」(第5図)は十一号まで発行されているが、国府推定地をめぐる動きを詳細に伝え、国府や国分寺の持つ歴史的な意義を訴えるとともに、近隣の主要遺跡の紹介や会員の意見交換の場としての役割も果たした。遺跡の調査では、未調査であった隼人塚古墳(前方後円墳・行橋市)・八雷古墳(前方後円墳・行橋市)を調査してそれぞれの報告書を出しているが、国府推定地から仲哀峠に至る官道の踏査も行った。また、ゴミ焼却場の建設についての対処が急を要したこともあり、国府跡保存についての請願書を文化庁長官に提出する一方、ゴミ焼却場予定地の変更に関する要望書を一市五町に提出した。

第5図 豊前国府・国分寺調査研究会会報「とよ」

 このように会員の熱心な活動は、会員自らの文化財に対する認識を高めただけでなく、国府に対する認識が深まっていったことも確かである。
 その後国作幸木地区を中心に建設計画の進められていた広域圏ゴミ焼却場も他地域へ移転することとなり、ひとまず豊前国府推定地は原状の水田のまま残されることとなった。