惣社は普通総社と書かれるが、律令国家の成立に伴って、国ごとに置かれた一国の総社を指している。総社は国府内か国府と近接した地域に一の宮・二の宮以下の国内神社の祭神を集めて祭ったのに始まり、一の宮・総社制の成立は平安時代後期の十一世紀後半と考えられている。そして国衙祭祀を中心とした神社制度が確立したのもこの時期とされている。国内神社のすべての管理・祭祀は国司の任務の一つとされていたが、特に総社の持つ役割は在庁官人・国人層を結集していくための精神的支柱として運用されていたと考えられており、また国司の着任儀式もここで行われ、国衙行事を行ううえから重要な施設であった。