ビューア該当ページ

〔古代の交通〕

447 ~ 448 / 1391ページ
 世界的にみて中央集権的な古代国家では、中央政府と地方の行政機関との連絡や、軍隊の迅速な移動のために道路を中心とした交通網の整備が進められる。古代ローマ道は直線道路として著名であり、中国でも紀元前三世紀の秦代に国内巡察のための「馳道」と呼ばれる幅五〇歩(約七〇メートル)もの道路が建設されている。
 古代日本は歴史的・地理的環境の相違から、五畿七道に分割されていた。五畿は畿内の大和ほか中央政権の中核をなす国々で、七道は東海・東山・北陸・山陰・山陽・南海・西海の諸道を指し、数か国ないし十数か国からなる国の集合体の領域である。ただし、七道はこのような面的な領域を指す場合のほかに、畿内を中心として張りめぐらされた駅路(官道、第29図)の意味で使用される場合がある。


第29図 古代の官道と国府所在地