正道遺跡は、僧寺からは約二五〇メートルの距離があり、両者の間に南北に延びる小谷からは約五メートルの比高差がある。調査区はこの丘陵上平坦面の東縁部沿いで、国分墓地の南側に接する位置に設定された。調査区は畦畔を境にして、便宜的に北側を北区、南側を南区とした。調査面積は北区が六四四平方メートル、南区が七六八平方メートルで、合計一四一二平方メートルである。
検出した遺構は、掘立柱建物跡七棟・土壙一〇基・溝二条のほかに、柱穴列と多数のピットがある(第48図参照)。出土遺物は少ないが、時期的には八世紀代以降のもので、十一世紀から十三世紀にかけてのものが多い。
第48図 正道遺跡全体図