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宗門人別帳から壬申戸籍へ

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このように、宗門改人別帳は、社会の変転とともに変質が見られ、それは戸籍簿化して人の生死、人の出入り(結婚・養子縁組・奉公・勘当・出奔)など、戸籍上の一切の異動の把握が、宗門改めの実施によって、毎年定期的に継続されて、それが百数十年に及んで戸籍簿の性格を持つに至った。
 明治四年(一八七一)四月に、戸籍法が布告されて、檀家であることを証明する寺請制度は、同年十月に廃止された。戸籍法の布告によって、寺請制度が廃止されると、同年十一月十三日には「企救郡ならびに管内檀寺勝手次第の事」(「職制」)と触れが出された。これまでの強制的な檀那寺と檀家の関係が、檀家が自由に檀那寺を選ぶ権利が与えられたのである。
 戸籍の作成に当たって、その編製作業は、宗門改人別帳などを備えている庄屋を戸籍編成掛に任命して、戸籍簿化した宗門改人別帳によって、短期間の内に正確な戸籍が作成された。翌五年二月から、戸籍法が実施されて、この年の干支である壬申にちなんで呼称される、壬申戸籍(じんしんこせき)へと受け継がれていった。