口屋番は、苗字・帯刀を許され、切米(きりまい)七~八石を与えられ、一山に二人ずつ配備された。山ノ口は、四~六斗の給米を受け、一山に十数人配備された。
小物成として山林にかかる税には、請山運上・炭竈運上のほか、第83表のような免許札に対する山方運上銀があった。
第83表 免許札と山方運上銀 |
免許札 | 山方運上銀 鑑札1枚につき |
匁 分 | |
踏 炭 | 銀 10. 0 |
鍛冶炭 | 3. 0 |
灰 | 6. 0 |
松 根 | 1. 5 |
松 枝 | 2. 0 |
落 木 | 1. 7 |
鍬風呂 | 10. 0 |
杓 子 | 6. 0 |
箕 | 3. 0 |
領民は、薪を入手するために「馬札」あるいは「歩行札」という二種類の薪採取鑑札を下付してもらった代償として、藩へ薪札運上銀を上納した。元文年中(一七三六―四一)以降、第84表の運上銀を定納するようになった(『豊前旧租要略』)。
第84表 小倉藩の薪札銀 |
郡名 | 薪 札 銀 |
貫&emsp匁 分 厘 | |
企 救 | 1.439. 5. 0 |
田 川 | 1.130. 0. 0 |
京 都 | 496. 8. 8 |
仲 津 | 503. 0. 0 |
築 城 | 522. 0. 0 |
上 毛 | 1.715. 0. 0 |
合 計 | 5.806. 3. 8 |
第85表は、寛政元年(一七八九)の「仲津郡山方勘定帳」のうち、節丸・長井両手永分を表示したものである。
第85表 仲津郡山方勘定(その一部) |
寛政元年(1789) |
手永 品 | 節 丸 | 長 井 | 計 |
材 木 代 銀 運上銀1荷につき | 141荷8分8朱 70目9分8朱 5分 | 80荷6分4朱 40目3分2厘 5分 | 222荷5分2朱 111匁2分2厘8朱 5分 |
松 葉 札 代 銀 運上銀1枚につき | 44枚 44匁 1匁 | 49枚 49匁 1匁 | 93枚 93匁 1匁 |
下 苅 代 銀 運上銀1匁につき | 453朱 15匁1分 30朱 | 120朱 4匁 30朱 | 573朱 19匁1分 30朱 |
代 銀 〆 | 130目4厘 | 93匁3分2厘 | 222匁3分6厘 |
材木生産は、仲津郡五手永のうち、節丸手永は四五パーセント、長井手永は二五パーセントを占め、両手永合わせて七〇%の生産高を数えている。山林樹木の下草や枝葉を刈り取り、領民が薪など日常生活に必要とする下刈りも、節丸手永は六四%、長井手永は一七パーセントを占め、両手永合わせて八一パーセントの生産高を上げている。豊津町域は、犀川町域とともに、郡内では山林の宝庫でもあった。