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豊前小倉領全図

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福岡県立豊津高校の小笠原文庫に、作成年代は特定できないが、その内容から、幕末・維新期のものと考えられる「豊前小倉領全図」が保存されている。この絵図の特徴は、慶長・正保・元禄・天保の四大国絵図と違って、街道と駅が呼称とともに具体的に記載されていることである。街道としては、中津道・豊後日田道・小石原道・大隈道・黒崎道が散見し、駅(宿駅・人馬継立場)としては、八屋(はちや)・椎田・苅田(かんだ)・大里(だいり)・添田町・香春(かわら)・呼野・徳力・猪膝(いのひざ)町・油須原(ゆすばる)・山鹿・新町が描かれている。
 第63図は、仲津・築城・上毛三郡の部分図である。椎田と香春を結ぶ道のうち、豊津町域を通過するルートとしては、三つのコースが描かれている。
 

第63図 豊前小倉領全図(部分)

 
 ①椎田(宿駅)―築城―別府ノ内弓ノ師―徳永―田中―国作―天生田―新町(宿駅)―上野―香春(宿駅)
 ②椎田(宿駅)―天生田間は同じコース―花熊―大村―山鹿(宿駅)―大坂―小内田―香春(宿駅)
 ③椎田(宿駅)―天生田―山鹿間は同じコース―崎山―下赤ノ内油須原―小内田―香春(宿駅)
 
 また、豊前道の高瀬と節丸を結ぶ道のうち、豊津町域を通過するルートとしては、高瀬―道場寺―徳永―呰見―綾野―上原―光冨―節丸―犬丸―横瀬―下伊良原―上伊良原―帆柱のコースが描かれている。この絵図では、帆柱の南で道がなくなっているが、この道は、既に、正保図で主要道を示す赤い太線で描かれている彦山道にT字路として交わるのである。
 そして、豊津町域を通過するルートとして、豊前路の椎田より廣末(ひろすえ)―赤幡(あかはた)―安武(やすたけ)―袈裟丸(けさまる)―光冨(みつどみ)―末江(すえ)のコースが描かれている。この絵図では、末江の西で道がなくなっているが、この道は山鹿の宿駅へ通じる道である。