信濃国守護職。長棟の時代、小笠原を筆頭にして、村上、木曽、諏訪の四人は、信州の四大将といわれ、その軍勢九〇〇〇余騎、五万余人と称されていた。当時、足利幕府の力も弱まってきた。信濃においてもその余波や、打ち続く戦乱、土一揆などのため旧来の秩序はようやく破壊されようとし、守護職を名乗る家が何軒も出来てきた。この時代、信濃国守護職は、
筑摩郡深志城――小笠原長棟
埴科郡葛尾城――村上頼平
筑摩郡福鳴城――木曽義康
諏訪郡高島城――諏訪隆
佐久・小県両郡――平賀成頼
の五人であった。この五人とも、もともとは小笠原一族であるが、中でも小笠原氏が代々守護職の家柄であるため、代表者のような形であった。