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おわりに

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 平成元年四月町史編さん係が設置されて以来一三年の歳月が流れ、ここに町史通史編を上梓出来ますことは、事務局といたしましても誠に喜びに耐えない次第です。
 思えば、宮代二丁目にありました商工会の一室として使われていた部屋から町史編さん事業はスタートいたしました。その後、平成五年宮代町郷土資料館のオープンに伴って移転し、資料館業務とともに町史編さん事業を進めて参ったところでございます。各委員の皆様には、行き届かない事務局であり、さぞかしご迷惑をお掛けいたしたものと思います。編集委員、調査員、そして多くの町民の皆様に支えられ一八冊の資料集と、ここに通史編を刊行できましたこと、心より感謝申し上げます。
 宮代町という小さな地域ではありますが、今では想像できないような景観が広がっていたものと思われます。深い谷、照葉樹林、静かな海の広がり、そして沼地へと変化し、さらに人々の手が加えられ落葉広葉樹の林や田畑へと大地は変わり、今、その姿を留めつつ、市街地が形成されております。また、こうした大地を舞台に、旧石器時代以来、連綿と人々の暮らしが繰り広げられて参りました。そこには、時代を超えて人々の日々の喜びや哀しみ、そして楽しみがあったのではないかと想像されます。
 さて、本書にも記されておりますが、宮代町は江戸時代以来、俳句の非常に盛んな地域でもありました。その俳諧の祖である松尾芭蕉が「許六離別の詞」に、「古人の跡をもとめず、古人の求めたる所を求めよ」と弘法大師空海の言葉を意訳し述べております。本書に記されている宮代町約二万年の間の人々の暮らしや出来事の中から、まさに当時の人々が求めたところを私たちは知り、それをこれからの「まちづくり」へと生かすとともに、「不易流行」、不易なるものを保ちながら同時に新しい時代の要請にこたえる方法を考えつつ進めることが大切ではないかと思います。
 本書が、そうした意味で永く先人たちの歴史と文化を将来に伝え、活用されることを願ってやみません。
 おわりに、種々資料等を提供頂き、かつ、ご協力を頂きました町民各位、そして一三年間もの長きに渡って監修に携わっていただいた鈴木敏昭監修者を始めとする委員各位に重ねて御礼申し上げ結びの言葉といたします。ありがとうございました。