発掘調査で出土した石器を観察すると、当時の人達は、石であれば無作為に、何でも石器の材料にしたわけではなく、道具に応じて、それぞれの役割に向いた石材を選択していたことが分かる。彼らが好んで使った石材は、何処から手に入れたものなのであろうか。
こうした疑問は長い間、考古学者と地質学者が一緒に取り組んできた問題である。最近の科学の進歩によって、火山活動で地表に出てくる岩石(火成岩)の黒曜石(こくようせき)と安山岩の一部は、原産地が詳しく特定できるようになってきた。上の地図は、逆井遺跡から出土したガラス質黒色安山岩がどの原産地のものかを、分布と矢印で示したものである。
1-9 ガラス質黒色安山岩の動きと逆井遺跡
(山本薫1999『日本考古学協会第65回総会研究発表要旨』一部改変)